現在行われている第6回シンデレラガール総選挙ですが、
一部で「総選挙出口調査」が話題になっているようです。
かくいう私もプログラムを組んでデータを取得したりして遊んでいるクチです。


この出口調査、どれくらいの意味があるのか?と考えています。

この記事の内容まとめ


・出口調査とは、ツイートを材料として投票の傾向を調べる調査であった
・だがツイートと票数は完全にリンクしているわけではなさそうだ
・出口調査は「毎日出る中間発表」のような役割を持ち始めている
・いま、出口調査自体が選挙活動となりつつある


①総選挙とは・出口調査とは


まず出口調査についておさらいしておきましょう。
モバマスには、総選挙で投票した際に、投票した旨をtwitterに投稿できる機能があります。
で、twitterの海に散らばるこれらをまとめ上げてカウントすれば、
どのアイドルに人気があるかの一種の指標が得られるのではないか、と考えて
とある人(以下、便宜上「発足者」と呼びます)が始めたのが「総選挙出口調査」です。

総選挙の仕組みについてもおさらいしておきます。
シンデレラガール総選挙とは、ユーザーが好みのアイドルに「投票」をし、
票数によってアイドルに順位付けをするイベントです。

1位になったアイドルには「シンデレラガール」という名誉や
さまざまなゲーム内イラスト・カードが、
5位以内になったアイドルには5人での新曲が、
さらに各属性3位以内になったアイドルにも9人での新曲が、
それぞれ与えられ、また50位以内に入ることで、
これからの展開に有利になると言われています。

特に新曲を貰えるアイドルに声がついていなかった場合、
新たに声が付くこととなります。
声が付くことの影響については割愛しますが、
アイドルの魅力が広がる、と思ってもらえれば十分です。

この「投票」ですが、何もしなくても1日1票の計30票ほど、
普段からプレイしているユーザなら計数百票を投じることができ、
さらに有料のガチャを回すことでも投票券がゲットできます。

そのため、一人一票を持つ実際の選挙とは大きく異なり、
「株主総会」と揶揄されることもあるとか。

②本出口調査の特徴・選挙の出口調査との違い

選挙における出口調査とはそもそも、統計学に基づいてサンプルを抽出し、
当選・落選の予想をすることです。
本出口調査と本来の出口調査では様々な点が異なります。


・同一人物が複数カウントされる。


前述の投稿機能に回数制限はありません。
発足者が行っている出口調査では、手動でカウントしているために、
同一人物の複数回カウントを行っているようです。
これが何を意味するかというと、
「出口調査の結果は、投票しているユーザ数を表すわけではない」また
「出口調査の結果は、容易に不正(?)操作できる」ということです。(※)

(※)
人力カウントではなく、プログラムを用いユーザ数をカウントすることで
この操作は防ぐことが出来ます。
そういった集計をし、公開している人もいるようです。


・「ツイート数」すなわち「票数」ではない。


実際の選挙における出口調査が統計的なサンプルとして成り立つのは、
「一人一票」という決まりがあるからです。
対して本出口調査においては、一度に何票入れようとツイートの数は一つです。
100人が入れた1票より、1人が入れた1000票の方が大きい、ということですね。
ですからツイート数(あるいは、ユニークユーザー数)が表すのは
「そのアイドルに入った票の数」ではなく、
「そのアイドルに投票するユーザの裾野の広さ」であることがわかります。
 
この話はこれで終わらないのですが、その話は次のトピックで。


・そもそも「ツイート」は「無作為なサンプル」なのか?


統計的な標本推定が成り立つのは、標本が全数から無作為にサンプリングされている場合です。
何を言ってるかわからないという方はこちらを→インターネット普及率100%!?
 
今回集計しているのは「ツイートの数(あるいはユーザ数)」です。
このツイートは強制されるものではなく、あくまで任意です。
投票数に対するツイート数は、「ある程度は」相関を持つでしょう。
すごく人気のある子なのに、ツイッターで名前を見かけることはほぼない
なんて事態は流石に考えにくいですし、逆も然りです。

ですが
「投票したユーザーのうち、投票した旨をツイートするユーザー」というサンプリングが、
無作為であると言いきることができるでしょうか?

ひょっとしたら、十分に無作為であるといえるのかもしれませんが、
それを調べるには念入りな調査が必要です。
今この場で断定できることではありません。

例えば、○○のPは○○の可愛さを知ってほしいから、頻繁に投票ツイートをする人が多い。
だが●●のPは●●の可愛さを知ってほしいと思わないから、
あまりツイートをしない人が多い、とします
(これはあくまでも仮定です)
この際、○○と●●に同数の投票があったとしても、
ツイートとなって現れる数に違いがありそうですね。


③本出口調査が示すものは何なのか?


以上をまとめると、次のことがいえます。

・本出口調査は、「全投票数」を「ツイートの数」という形でサンプリングして、投票数を推定するものとは言えない。すなわち、二項に相関はあるかもしれないが、直接の相関とはいえない。

・本出口調査が表す値は、「アイドルに投票したツイートの数」あるいは「アイドルに投票したツイートをするようなユーザの数の数」である。

④出口調査の実際

ここでめでたしめでたしで終われば良かったのですが、
実際はもうすこし複雑なようです。

出口調査の結果は、定期的に公開されているのですが、
その結果を参考にして、何かをする動きがあるようです。
投票した「結果」であったはずの出口調査そのものを理由として、
何かが新しく行われている、ということです。

おそらく発足者も、それが目的で出口調査を
始めたのではないだろう、とは思うのですが。

具体的には、いわゆる「流動票」と呼ばれる票の動きに影響があるようです。

総選挙の結果は、投票対象183人のうち、50位までしか公表されません。
したがって、この50人以外(通称51位勢)に投票をしても、その結果はユーザからは見えないのです。
実質「死に票」のような状態です(実際は死んではいないのですが)
もちろん、順位なんて関係なくお気に入りに入れる、という票は多いのですが、
それとは別に
「シンデレラガールになって欲しい子」や、
「上位のなかでお気に入りの子」あるいは
「新しく声付きが狙えそうな子」を応援する票を、流動票と呼ぶようです。
流動票がどれくらい影響するのかは不明ですが、
シンデレラガールを狙う担当Pや、ボイス付与を狙う担当Pは
その流動票を掴むことに躍起になっています。

本総選挙は選挙期間の中頃に、大本営から「中間発表」があり、
これが流動票を掴むためのひとつの目安となっていましたが、
出口調査を「毎日出る中間発表」のように捉える人が出始めています。

もちろん前述したように、「出口調査」と「票数」に直接の相関はないのですが、
事実とは関係なく「そう皆に思われ始めている」ことが重要です。

こうなると出口調査の意味は変わってきます。
「出口調査を盛り上げるためにツイートする」というツイート理由が出来るのです。
「出口調査」がすなわち「選挙活動」になりうる、ということです。
「結果」であったはずのものを「理由」にする、というのは、こういうことです。

⑤まとめ
以上をまとめると、次のようなことがいえます。

出口調査は、ただの調査ではなく、
選挙活動の一つになりつつある。

これが4/12時点での私の出した結論です。

いまの出口調査に対する見方が広まっていくならば、
出口調査は投票数ではなく、選挙活動の活発さを示す数値になる、
と言えるでしょう。流動票にも影響が出るかもしれません。

反対に、「やはり出口調査はやはりただの調査だ」という考え方が広まれば、
また変わってくるのではないのでしょうか。

------------当初の記事公開分はここまで--------------


------------以下、追記となります--------------------

⑥筆者の個人的な考え

ここまで、出口調査がどういう状況になっているのか、
客観的に論じてきたつもりでした。
(後述の筆者の価値観が出てしまっているところは
あるかもしれませんが)

ですが筆者は、出口調査が選挙活動になりつつある現象を
あまり快く思ってはいません。

と言うのは、「強いられている」という感じが強い、
と考えるからです。

投票ツイートは、従来の
スクショやSS、絵にダイマ資料などといった選挙活動と違い
本来、それ自体が活動になるとは思われていなかったものです。
そして、出口調査が広まった今も、
そう思っているPは少なからずいるようです。

そういうPにとって、出口調査という選挙活動に乗っかるのは、
自分にとってこれは本意ではないけれども、
無視できないならせざるを得ない、ということになり、
それはあまり健全ではないのかな、と考えます。

自分にできるやり方で参加できるのが強みだったものに、
「好む好まざるにかかわらず、やらざるを得ない」という
一種の義務感が生まれるのでは、
総選挙というお祭りを、P自ら楽しくないものにしている
ということになりかねません。

とはいえ、出口調査を選挙活動とみなす動きは
そこまで強くはなっていなさそうですので、
これは筆者の杞憂であるのかな、と思います。

筆者個人としては、このまま
出口調査はあくまで指標の一つであり、
それ自体が選挙活動の主軸になるわけではない、
という考え方が、広まってほしいな、と思っています。

むしろ、出口調査と選挙活動を結びつけて論ずること自体が
出口調査は選挙活動なんだ、という認識を植え付けることにもなりかねません。
それがこの記事を非公開とした理由の一つでもあります。

記事は完璧なものとはいえないし、再公開すれば
この記事そのものが良い影響を及ぼさない可能性がある。
ですが、中途半端に非公開にしてしまった記事に対して
きちんとけじめを付けないのもどうかと思い、
このような形を取りました。